企業会計基準委員会(ASBJ)が仮想通貨の会計ルールを正式決定 税法上の取り扱いとの違い

2018年3月10日 日経新聞電子版に「企業会計基準委員会(ASBJ)が仮想通貨の会計ルールを正式決定」の記事が掲載されていました。

会計上、仮想通貨の評価は、原則、期末に時価評価し、評価差損益は損益計算書に反映させるということのようです。
2019年3月期から企業に適用されるとのこと。

この記事からははっきりとわかりませんが、2017年12月6日に公表された

実務対応報告公開草案第53号 資金決済法における仮想通貨の会計処理等に関する当面の取扱い(案)

この案とほぼ同じ取り扱いなのではないかと思います。

会計基準は時価評価が原則になるので、仮想通貨の場合時価評価になることは想定されていましたが、換金性の低い仮想通貨は取得価額で評価するようです。

正式ルールを読んでから、また解説しますね!

これに対し、税法上は、特例的取り扱いがない限り期末時価での評価は行いません。
会計基準のの目的の一つは、期末時点での企業の正しい価値算定を行うことであることから、時価評価が原則になりますが、税法は「担税力」や「課税の安定性、公平性」が重要なファクターだからです。

仮想通貨が税法上の時価評価をすべき資産(特例的な資産)に該当するかどうかについて、以下で考察します。

まず、有価証券の評価に該当するのではないか、という疑問が生じます。

法人税法上、有価証券は、保有目的に応じて
1.売買目的有価証券
2.満期保有目的等有価証券
3.その他の有価証券
に分けられます。

この中で1.売買目的有価証券 に該当するものについては、時価で評価し評価差損益は、その事業年度の所得の計算上損金又は益金に算入することとされています。(法61の3➁)

仮想通貨が、税法上の「有価証券」に該当する場合、売買目的で保有するときは時価評価することになりますが、税法上の有価証券とは
「金融商品取引法2条1項に掲げるもの および法人税法施行令第11条に掲げるもの」とされていて(法2二十一、令11、規8の2の4)
現時点(2018年3月11日)では、この中に、資金決済に関する法律 第二条に定める「仮想通貨」は入っていません。

しががって、売買目的有価証券には該当しない、ということになります。

次に考えられるのは、仮想通貨が、短期売買商品( 法法61 )に該当するということです。
短期売買商品とは
内国法人が短期売買商品(短期的な価格の変動を利用して利益を得る目的で取得した資産として政令で定めるもの(有価証券を除く。)
と定義されています。
これに該当し、一定の要件を満たす場合には、これらの資産は期末時価評価することになります。

短期売買商品は、有価証券のように資産の種類が限定されておらず、仮想通貨も入る余地があります。
ただし、短期売買商品を保有している場合全てが時価評価になるわけではなく、「専担者売買商品」や「帳簿記載短期売買商品」といった類型に該当するものだけになります。

専担者売買商品とは、「専ら従事する者が短期売買目的でその取得の取引を行つたもの」(法令118の4)であり、
いわゆるトレーディング目的で取得した商品をいうのであるから、法人がトレーディング業務を日常的に遂行し得る人材によって設置した独立の専門部署(関係会社を含む。)により当該商品の売買がされている場合の当該商品がこれに当たることに留意する。(法基通2-3-63)

とされていることから、これに該当しない限り時価評価は必要ないということになります。

また、帳簿記載短期売買商品とは、その取得の日において短期売買目的で取得したものである旨を財務省令で定めるところにより帳簿書類に記載したもの(専担者売買商品を除く。)(法令118の4)
と定義されていますので、仮想通貨について短期売買目的で取得したものであることを帳簿に記載しない限り、時価評価は必要ないことになります。

法人税法上、仮想通貨について、時価評価の可能性がある規定は上記のものだけだと思いますので、これらに該当しない限り時価評価の必要はありません。

したがって、ASBJの会計ルールに則り、会計上仮想通貨を期末時価評価した場合には、税務調整が必要になります。